『スタンフォード大学教授が教える熟睡の習慣』
ポイント
① 睡眠時間は遺伝で決まる
② 睡眠負債を貯めるな!
③ 黄金の90分を大切に
要約
睡眠時間の長さは遺伝で決まる
睡眠時間の長短は、遺伝的資質に規定されることが大きい。
「トレーニングすれば誰でもショートスリーパーになれる」という書籍もあるが、
短時間睡眠の遺伝子をもっていない人がそれをやろうとしても睡眠負債がたまっていくだけ。
ショートスリーパーは、じつは全体の1%未満にすぎない。
睡眠負債
ヒトは一定の睡眠時間を必要としていて、
それよりも睡眠時間が短ければ、足りない分がたまる。
つまり眠りの借金が生じる――これが睡眠負債。
また、睡眠負債は眠ることでしか解消できない
理想の眠りの条件は、3つ
日中のパフォーマンスを最高に高める理想の眠りの条件は3つ。
(1)量が十分であること
(2)質がよいこと
(3)すっきりと目覚められること。
必要な睡眠時間の「量」には個人差があるが、日本人であれば7時間が目安。
それよりも長い方がよい、短い方がよいなどの自覚がある人は、それに応じて増減させる。
「質」は測りにくいものだが、目覚めのすっきり感がひとつの目安になる。
すっきりと目覚められたときを「快眠できた」と定義し、
それを基準にして快眠できる睡眠環境を整えていこう。
質の高い眠りを得るための最大のポイント
質の高い眠りを得るための最大のポイントは
「寝入りばな、最初のノンレム睡眠を深くしっかりと眠れるようにする」こと。
これが「黄金の90分」と呼ばれる。
黄金の眠りが大切なのは、細胞の増殖や正常な代謝の促進などの役割を果たす「グロースホルモン(成長ホルモン)」の70~80%が、ここで分泌されるからだ。
さらに、最初に深く眠れると、その後の睡眠リズムが整いやすい。
そうすると、睡眠の重要な機能である
自律神経のバランス
脳の老廃物を排出
免疫機能の活性化
などが効率よく行われる。
深部体温
睡眠においては「深部体温」が鍵を握る。
深部体温とは、身体内部の温度のこと。
これは手足の皮膚温度のような、身体の表面温度とは別のもので、
むしろ皮膚温度とは逆の動きをしている。
起きて活動をしているとき、深部温度は皮膚温度よりも2℃くらい高い。
夜間になると深部温度が下がり、逆に表面の温度が高くなる。
深部体温と眠気の関係
深部体温が下がってくると、脳の温度も下がる。
人間の身体は、深部体温と脳温が下がると眠くなる仕組みになっている。
深部体温は、誰もが家庭で連続して測れるようなものではない。
だが、自分の体温を気にかける習慣をつけることはできる。
体温は入浴によって大きく変わる。
また、一度上がるとその後、下がる性質があるので、
熱い湯につかるとよく眠れるのか、
もしくはぬるめの湯がよいのか、
シャワーだけにするか、、、
など、自分の体温変化と寝つきやすさの関係を分析してみるとよい。
睡眠にはおもに5つの役割
睡眠にはおもに5つの役割があるとされている。
(1) 脳と身体に休息を与える
(2) ホルモンバランスや自律神経を整える
(3) 記憶を整理して定着させる
(4) 免疫力を上げて病気を遠ざける
(5) 脳の老廃物を除去する
これらの機能がうまく働くことで睡眠に限らず、健康に良い影響を与える。
また、睡眠不足の人はうつ病の発症リスクが3倍ほどに増えることに加えて、
食べることを抑制するホルモン「レプチン」が分泌されにくくなってしまう。
一方で、食欲を増進するホルモン「グレリン」は、睡眠不足のときによく分泌される。