『子供の頃から哲学者』苫野一徳

【第一章】「承認欲望」ヘーゲル

 

 

ー哲学の大テーマ「承認欲望」

 

「人間は承認欲求を満たすためにあらゆる“あがき”をするが、それらが満たされないために「自分はダメなんだ」と感じてしまう。しかし人間は基本的に自意識の塊だ。そして僕たちが他者からのの承認をどうしても求めてしまうのはそんな自意識を満たすために他ならない。

 

でも人の承認なんてそう簡単に得られるようなものじゃない。そこで僕達は必死にあがくことになる。そして、そのためにかえって息苦しい生き方を選んでしまうことになる」

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その“あがき”の代表例が次の四つ。

・第一類型 独りよがりのストア主義

「ストイック」の語源となっている通り、自分をストイックに追い込むことを目指すが独りよがりになり、自分の殻に閉じこもってしまう自意識の守り方。

 

・第2類型 否定ばかりのスケープシス主義

ストア主義のように独りよがりでは不全感を拭い去ることはできない。そこで他人を批判することで自分の自意識を守ろうとするようになる。それがスケプシス主義。しかし人を批判したり否定しても結局のところ自分の自意識を満たすことはできない。そうして次のあがきに出ることになる。

 

・第三類型 虎の威を借る「不幸な意識」

不幸な意識とは、自分よりも偉大な者の虎の威を借ることで自意識を満たそうとするあがきのこと。しかし自分が優れても偉大であるわけでもないため、いつかはボロが出る。

 

 

・純粋素朴な「心胸の法則(むねののり)」

心胸の法則とは、「自分がされて嬉しいことは人もされて嬉しいことだ」と純粋に信じ込む態度のこと。一見、何も悪い点は無いように思えるが、ヘーゲルはこれは長続きしないと言う。なぜなら心胸の法則は思い込みに過ぎないため、そこで心胸の法則はこれを単なる思い込みに止めるのではなく、現実世界でちゃんと実現させてやろうと考えるべきだという。




次回、-「全ては疑える」ただし自分以外、 ー